※掲載情報は執筆時点のものであり、制度内容は変更される場合があります。また、本事例は事業者の体験に基づくものであり、申請結果や補助金額を保証するものではありません。申請をご検討の際は、窓口で最新情報をご確認いただく事を推奨します。
支援がもたらした変化
課題
大学卒業後、半年ほどして家業に入った。「大学生の時に飲食店でアルバイトしていて、当時は父が飲食をやっていたので、ゴールデンウィークとかになると手伝ったりしていた。そうするうちに、後を継いでもいいかなと感じた」。
5年前、食事処を夜遅くまで営業することがむずかしくなってきた事と、同時期にネット販売が伸びていた事もあり、業態変更と店舗改装を考えた。
さらに地震後、個人向け販売の一層のテコ入れが必要と考え、新たに販売用店舗を設けることにした。
選択と決断
事業承継支援補助金を活用するには、創業塾の受講と事業計画書の作成が必要だった。商工会と北國銀行のアドバイスを受けながら、準備を進めた。
地震後の新店舗については、自分達でやっていく決断をした。
【究極の二択】事業をどう引き継ぐか
地道に「今の売上」から少しずつ投資する
- •利益が出るまで、新しい包丁や冷蔵庫、カッコいいウェブサイトも「我慢」し、堅実に経営する。
- •投資が後手に回り、チャンスロス(売り逃し)が発生。理想の店への道が遠のく。
補助金の“段階的活用”で「理想の環境」を今すぐ作る
- •事業承継補助金でまずは家業の「土台(作業スペース)」を整備。
- •さらにチャレンジ支援補助金や創業支援補助金を重ね、自己負担を極限まで抑えてソフト面(宣伝・デザイン)と最新設備を同時に手に入れる。
決め手:
「ネット販売が伸びていたので、そこに集中したい。飲食をやめて、作業スペースに特化する店舗改装を決めた」 「自分達のやりたい事を実現するため、新たに個人販売向け店舗を構えることを決断」
行動と変化
創業・継承補助金で店舗を改装。改装費の半分くらいを補助金、残りは金融機関から借り入れた。
「当時は名前だけの事業承継だった」。だが、5年後の震災をきっかけに、自分がやりたいと思っていた個人向け販売店舗の開業を決意した。
起業促進補助金(二次創業枠)とチャレンジ支援補助金を活用。「魚や ラララ」として新店舗を開業した。
起業促進補助金は「二次創業という形だと2分の1を受け取れる。最大300万円の補助のうち、私が対象にしたのは水道設備工事の70万円から80万円くらい。そのうち半分を補助いただける」。
チャレンジ支援補助金は「ソフト面。ウェブサイトだったり広告宣伝費とかの部分で、満額が300万円。そのうち200万円ほどで申請している」。
「能登町の上乗せ補助も申請すると、負担はかなり軽減された」。
申請は商工会の担当者と一緒に進めた。「書類の作成はどうしても時間がかかるとか、苦手な方も僕も含めて結構いらっしゃると思うんですけど、今の商工会の方はすごい力のある方で、添削もすごくよくしていただいて」。
結果、「自分たちの店を持つ」という夢を実現した。「地元の方に加えて観光の方にもいろいろと来てもらって、美味しい魚を提供できる魚屋になれればなと思います」。
申請する人が直面しやすい『実務の壁』
書類作成の壁(時間と苦手意識)
「書類の作成はどうしても時間がかかるとか、苦手な方も僕も含めて結構いらっしゃると思う」。
時間の壁(通常業務との両立)
「資料作成で1週間に1時間か2時間が取られて、通常の仕事に加えての作業になるので、そこはちょっと時間がかかる」。
売上予測の壁(新規事業の計画)
「自分の計画書は結構細かく書くことになると思うので。売上の予測だとか。僕らは移転みたいな感じで結構売上のイメージは立てられたんですけど、本当にまるっきり新しいことをする人たちは、売上の予測をどうやって立てられるかちょっと難しいんじゃないかな」。
壁の乗り越え方
▼ こうやって乗り越えた
- •商工会の担当者が書類作成を強力にサポート
- •金融機関のアドバイス
- •商工会青年部の横のつながりで情報収集
現在から未来へ
現在は「魚や ラララ」を運営。前日までの予約で刺身を提供している。おくのといちでの出張販売も開始した。
5年後の夢は、「本当の意味で自分達の店を持つこと。自分らのお店を建てるか、改装してどこか買ってでもいい。それをしたいなと思っています」。
「今、能登町には町内3つの酒蔵さんの商品を一緒に取り扱う飲食店はおそらくまだない。それをちょっと飲食店じゃなくても、小売の魚屋さんでもやりたいというのがありまして。能登のお酒と魚が一緒に並ぶようなお店を作れればなと思っています」。
能登を訪れることを迷っている人へのメッセージ。「どうしても宿泊施設はまだ少ないので、でも道は普通に車が走れますので、迷っているのであればぜひ能登に来ていただきたい。宿泊は最悪金沢とかでもいいんじゃないかなと思って、ちょっとでも来てもらえれば嬉しい」。
再起の裏側:4代目の挑戦
「名前だけの事業承継から、本当の独立へ」
5年前、創業・継承支援事業補助金で店舗を改装しました。「その当時は本当に名前だけの事業承継だった」。 でも、震災をきっかけに、本格的に「自分たちの店を持ちたい」と思うようになりました。 起業促進補助金とチャレンジ支援補助金を活用して、「魚や ラララ」として新店舗を開業。「補助対象経費は、能登町の上乗せ補助も申請すると、負担はかなり軽減された」。
「イメージより(手間は)かからない」
書類作成は「面倒くさい、何となくやりたくないというイメージでやっていたので、2時間くらいかかるかなってどうしても思っていました。でも実際は1時間くらいだったり。思ったよりかからないかな」。 商工会の担当者が強力にサポートしてくれたのも大きかった。「今の商工会の方はすごい力のある方で、添削もすごくよくしていただいた」。
「横のつながりが大事」
情報は自分で取りに行くこともあるし、商工会青年部や同年代の事業者から教えてもらうこともある。 「商工会青年部の方とか同年代の事業者さんとか。あとは金融機関さん。北國銀行さん、興能信用金庫さんからもそういう補助金とか制度あるよというのを教えていただいています」。
## 今回活用した制度
創業・継承支援事業補助金
事業承継を契機とした経営革新等への挑戦を支援する補助金。創業塾の受講と事業計画書の作成が必要。
起業促進補助金(二次創業枠)
新たな事業を開始する際のハード面(設備投資)を支援する補助金。二次創業の場合は補助率2分の1。
チャレンジ支援補助金
震災後の新たな挑戦を支援する補助金。ソフト面(ウェブサイト、広告宣伝費、調理器具など)が対象。
✍️編集後記
魚やラララの事例が示すのは、「情報を集めること」の大切さだ。
飲食をやめ、ネット販売に力を入れたい。いつか自分たちの店を持ちたい。
そう考えた下平さんは、商工会や金融機関、同世代の事業者とのつながりの中で情報を集めた。
その結果、事業承継補助金、創業支援補助金、チャレンジ支援補助金など、自分たちの挑戦を後押しする制度に出会った。
「使える制度があるか」を調べてから動くのではなく、「やりたいこと」を持って動いた先に制度が見つかることもある。
能登百業録 編集部
甲 祥子
